顔面神経麻痺・ベル麻痺 |
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症例1
60代男性 自営業 2015年2月受診
1週間前から、味覚が鈍くなり、右の口回りに強張りがでる。口をすぼめるのが辛くなる。
主訴
右顔面の麻痺。表情筋のこわばり、表情筋の筋力の低下。
その他症状
腰部痛。
既往歴
2005年に胃がん手術。
所見
・額にしわを寄せる 患側できない
・安静時の表情 左右非対称
・目を閉じる できるがゆっくり
・鼻をふくらませる できるが患側はゆっくり
・口をふくらませる 不完全
・口をすぼめる できない
・口をイーっとする 患側できない
上瞼に違和感。
耳鼻科を受診し、ウイルス性の顔面神経麻痺と診断を受ける。
思うように動かないため、代りの筋肉が無理に力を入れるため、頸部や健側の顔面の筋肉に緊張がみられる。
ツボ、筋肉
頸部夾脊穴、天柱、風池、完骨、下関、地倉、迎香、翳風、印堂。頸板状筋、頭板状筋、棘筋、後頭下筋群、側頭筋。
施術
1回目の施術
側臥位で、頸部の緊張と表情筋の緊張の緩和を行う。また、耳の下に翳風というツボがあり、そこから顔面神経への刺激。脳に血液を送る椎骨動脈の血流改善を行う。
2回目の施術
1回目の施術で、全体的なこわばりが軽減。味覚に関しては完全ではないが7割くらいは改善する。
・額にしわを寄せる できるが、ゆっくり。
・安静時の表情 左右非対称であるが軽減
・目を閉じる できるがゆっくり
・鼻をふくらませる できるが患側はゆっくり
・口をふくらませる 不完全
・口をすぼめる できない
・口をイーっとする できるが健側と比べると、ぎこちない。
3回目の施術
2回目の施術で、2日前に筋電図検査を行い。75%回復しているといわれる。
・額にしわを寄せる できる
・安静時の表情 左右対称
・目を閉じる できる
・鼻をふくらませる できるが患側はゆっくり
・口をふくらませる 大幅に改善。
・口をすぼめる できる
・口をイーっとする 左右対称ではないがほとんど気にならない。
その後、腰痛で来院されるが、顔の症状は100%回復。
考察
まず、顔面神経麻痺は、全く治療をしなくても、70%で完全に、自然治癒します。ほとんどが治るものです。
症状の特性上、顔に歪みが出るため、患者の精神的苦痛が大きい。鏡を見るたびに、このままずっとゆがんだままだったらどうしよう??と不安に陥る。また神経の麻痺は、動かして痛いとかそういうものではないので、動かしたいのだけども動かない。違和感。自分の思い通りに行かないというもどかしさがあります。
そういった不安を解消するには、まず適正に医療機関で検査を受ける。
北京堂でも、症状が出てすぐに鍼灸治療というかたもいますが、そういった場合でも、必ず病院を受診するようお願いしています。というのも顔面神経麻痺のほとんどが、ベル麻痺といわれるウイルス(ヘルペスやムンプスなど)が原因のものだからです。
そういったウイルスは、健康な人でも持っているウイルスです。健康なときは、しっかりと免疫が働いているので、ウイルスはひっそりとたたずんでいるだけです。それが疲れや老化、寝不足、ストレスなどで、免疫が下がると、ウイルスが活発になり、神経に悪さをします。神経がウイルスに侵されることにより麻痺が出てきます。
そういった初期症状では、ステロイドなどで早くにウイルスを鎮静化させるほうが早い場合があります。
また、顔面神経麻痺の場合、脳から来ている場合、どこかに腫瘍ができている場合などがあります。そういった場合は、専門医に適切に処置してもらう必要があります。
異常を感じたり、症状が出た場合は、神経内科、耳鼻咽喉科の受診をおすすめします。
【鍼灸施術のメリット】
上でも述べましたが、ウイルス自体は誰にでもいるものです。体が弱った時に活発になります。鍼灸治療は疲労の回復、免疫力アップ、血流の改善、神経への刺激を行います。医療機関との併用により早期回復が期待できます。
北京堂の顔面神経麻痺の施術
鍼と灸の併用を行います。電気は行いません。