頭痛 |
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症例4
男性 30代 京都府 会社員 2024年6月初診
30歳になったくらいから、側頭部に頭痛を感じるようになる。週に1回マッサージを受けるも、特に変化は見られないので来院する。
主訴
側頭部頭痛
その他症状
頸部、肩こり
既往歴
特になし。
所見
起床時は比較的楽、時間とともにしんどくなる
頚部動作 特に以上はない
神経症状なし。
ツボ、筋肉
- 頸部夾脊穴、胸部夾脊穴、天柱、風池、完骨。頸板状筋、頭板状筋、棘筋、後頭下筋群、側頭筋
施術
長期間の頭痛で症状がひどく悪化するわけではないので、危険な頭痛は考えにくく、緊張性の頭痛の可能性が高い。
長時間のパソコン作業で、同じ姿勢が長く、締め切りに追われるような仕事ということもあり、ストレスがかかるため、頸部、肩周りの緊張が強く、仕事中のストレスで噛み締めも強いことが考えられる。
また、睡眠時間が短く、2、3時間で、中途覚醒をするため、体が休まらず緊張がなかなか取れない状態になっている。
負担になる、頸部、肩上部の筋緊張を取るべく刺鍼。特に後頭下筋群の緊張が強いので、これらが頭痛の原因になっていたと考えられる。
1回目の施術後、毎日あった頭痛が10日くらいは持つようになったとおっしゃっていました。日々の作業で、疲労やこりは出てくるため、ゼロにすることは難しいですが、いい状態が少しでも長く続くようにお手伝いできればと思います。
症例4
男性 40代 吹田市 会社員 2018年12月初診
1か月前から左後頭部に痛みが出て動けなくなる。病院を受診し、CT、MRI検査を受けるも問題なし。筋肉の緊張からということで当院を受診。
主訴
左後頭下部痛。
その他症状
特になし
既往歴
特になし。
所見
食事をすると吐き気を催す。
頚部動作
左回旋(+)
前屈(+)
日常生活姿勢を維持すると、痛みが強くなる。
言語障害、神経症状なし。
ツボ、筋肉
- 頸部夾脊穴、胸部夾脊穴、天柱、風池、完骨。頸板状筋、頭板状筋、棘筋、後頭下筋群
治療
1回目の治療後、痛みが強くなるが、可動域が改善される。
2回目の治療後、変化なし。
施術
施術後も痛みは変わらず、数件医療機関を受診するも原因がわからない。5件目くらいで、硬膜下血腫があることがわかる。経過観察で症状は完治する。
医療機関を受診していても、気をつけないといけない症例の一つです。
CT、MRIで異常はないのですが、問診の段階から、教科書的な症状とは違うと感じるものでした。胸騒ぎのする症例というやつです。何か違うぞという。
寝込むほどの頭痛は、緊張性頭痛では考えにくいものです。姿勢を正した状態がつらいもしかりです。頭痛の既往もないので急性の頭痛を考えますが、画像所見では異常はない。判断が難しい。
大事に至らずに済んでいますが、気を付けないといけません。
症例3
女性 50代 横浜市 受付事務 2015年10月初診
1週間前から、左後頭から頸部にかけて、ジーンとした痛みが出る。脳神経外科を受診し、所見はみられない。
主訴
左後頭下部痛、頸部痛。
その他症状
肩こり
既往歴
リウマチ。
所見
首の動作問題ないが、左に回旋、側屈したときに、右頸部がつっぱる。時間帯による変化なし。睡眠時間問題なし。
ツボ、筋肉
- 頸部夾脊穴、胸部夾脊穴、天柱、風池、完骨。頸板状筋、頭板状筋、棘筋、後頭下筋群
施術
1回目の施術後、ジーンとした痛みを感じることを感じない時間が増える。後頭下部の締め付け、頸部のツッパリ感は残っている。
2回目の施術後、頭痛は解消される。頸部のツッパリ感が残っていたので、運動鍼を追加して可動域を広げることに重点をおく。
考察
筋力の低下や仕事の忙しさによる疲労が重なることにより、症状がでていたと考えられます。無意識に左側に力が入ることがあったり、左向きでの作業や偏った動きなども、原因の一つと考えられます。また、リウマチの既往歴があるため、関節の可動域の低下などもみられます。現在は緩解期にあり、症状は全くありません。
その後頭痛がでることはないが、仕事の疲れやこりを感じるようになったときに、来院継続施術をされています。
症例2
女性 30代 会社員(デスクワーク) 2015年9月初診
7月起床後から、頭全体を締め付けられるような症状がひどく、会社を休む。それ以降、頭が重く、スッキリしない。病院は受診していない。
主訴
頭痛(頭全体が重たい)
その他症状
首、肩のこり。吐き気を伴うときもあり。
既往歴
胆石。
所見
首の前後屈、左右回旋で可動域制限はなし。拍動性の頭痛なし。
ツボ、筋肉
- 頸部夾脊穴、胸部夾脊穴、天柱、風池、完骨。頸板状筋、頭板状筋、棘筋、後頭下筋群
施術
1回目の施術、頭全体の重たさの緩和、気になる時間が減少する。頭痛が緩和されたため、頸や肩のこりを強く感じるようになる。
2回目の施術、前回の施術後も見返しのように、頸肩に違和感が1日残っていた。次の日以降は気にならない。頸や肩のこり、頭痛は気にならない時もあるが、スッキリという状態ではない。
考察
吐き気を伴うときがあるものの、発作性のひどいものではなく、時間も経過していて、しびれやめまいなどの症状もみられないので、中枢性の頭痛は考えられにくい。頸や肩のこりがひどいので、緊張性の頭痛と考えられる。
起床後の頭痛がひどいということで、睡眠中の寝位、緊張、疲れなど、睡眠環境がよくないのではないかいうのも考えられる。枕があってなかったり、布団があってなかったり、考え事などで寝ている間も緊張するなど、リラックスして寝れていないことが原因ということも多くあります。
そういった場合、鍼灸やマッサージ、運動などで、緊張を緩和させるだけでなく、快適な睡眠環境作りを行うことも重要なことです。人生の半分以上は寝ているといわれます。本来一番リラックスする、この時間に緊張していたのでは、体がほぐれることはありません。
また、この症例の場合、昔から猫背であったり、デスクワークのため常に同じ姿勢であったり、頸や肩に負担がかかることを多くやっています。今回も頸や肩の緊張緩和、後頭下部にある筋肉群の緊張緩和を図ることによって、痛みやこりを緩和、解消します。
症例1
女性 30代 主婦 2012年6月初診
主訴
左こめかみ~左後頭部の頭痛
その他症状
首、肩のこりがひどく、吐き気、ふらつきがある。
既往歴
特になし。
所見
首の前後屈、左右回旋で可動域制限があり、動作後詰まるような感覚がある。首の徒手検査で神経症状はみられない。半年前に整形外科を受診、レントゲン、MRI検査でストレートネックと言われる。CT検査で、脳に異常はなく。緊張型頭痛の診断を受ける。
ツボ、筋肉
- 頸部夾脊穴、胸部夾脊穴、天柱、風池、完骨。頸板状筋、頭板状筋、棘筋、後頭下筋群、側頭筋。
考察
頭痛で鍼灸院に来院される方の多くが、緊張型の頭痛である。
病院で検査をしても重篤な異常がない方で、薬の服用、頭痛外来でも効果に満足されなかった方がいらっしゃいます。現代人の生活において、下を向かない日はありません。家事、デスクワーク、パソコン、携帯、スマートフォン、パソコンの閲覧、ゲーム、など。負担になりやすい首肩がさらに疲労してしまう要因になっている。
この症例の場合、特に左後頭部に痛みやつらさを訴えているので、後頭部から出ている大後頭神経を、固くなった筋肉が締め付け、痛みを出していると考えられる。ここにある、後頭下筋を緩めれば痛みや詰まり感は解消される。
刺鍼後に痛みがなくなるが、1週間をすぎると痛みが再発してくることから、下を向く姿勢での仕事や家事の時に、首の負担にならない姿勢を作ってもらうように指導した。朝に頭痛が出る場合は、枕の高さが合っていないことが多い。頭痛に限ったことではないが、自分でできることは自分でやる習慣をつけ、医療機関に頼らない体作りをすることが、効果の持続、再発防止になる。