コンディショニング |
---|
スポーツにつきもののケガやスポーツ障害、競技や試合、舞台で100%のパフォーマンスを発揮していただくために、常日頃からメンテナンスは必要不可欠。
ケガやスポーツ障害のメンテナンス以外にも、使いすぎでの疲労、試合や練習後の筋肉のはりや疲れを取りたいなど、スポーツ選手はもちろん、スポーツ愛好家のコンディション維持に使っていただいています。
関節の可動域を広げたい、インナーマッスルを刺激してほしいなどでも構いません。
症例14
40代 男性 大阪府 競輪選手 2024年4月受診
練習で階段のダッシュを繰り返し、下腿部に違和感が出ていた。後のレースで下踏み込んだ際に肉離れを発症する。
主訴
右下腿部肉離れ
その他症状
背部、腰部の疲労
既往歴
めまい
所見
超音波エコー検査
肉離れのエコー画像
ツボ、筋肉
腸肋筋、最長筋、多裂筋、大腰筋、腓腹筋。
治療
筋肉の早期修復を目指し、受傷部位にマイクロカレント通電。
考察
もともと、左下腿部も肉離れの既往があり、それを庇って練習していたため右側の下腿部の負担が増えたと考えられます。
スポーツ選手も20代後半くらいから、筋肉系のトラブルが増えてきます。疲労を溜めていたり、偏った筋肉の使い方をしていると肉離れ、腱の損傷など注意が必要です。
症例13
30代 女性 大阪府 競輪選手 2021年3月受診
練習で追い込むと、背部の筋肉で固めてしまう癖があり、その疲れを溜めるとパフォーマンスが下がったり、痛みになるので、それを取りたい。
主訴
背部の緊張、腰部痛
その他症状
特になし
既往歴
特になし
所見
特になし
ツボ、筋肉
腸肋筋、最長筋、多裂筋、大腰筋、下後鋸筋。
治療
緊張のある各筋肉に刺鍼。特に右腰部下部の緊張が強いので、そこを重点的に刺鍼。
考察
右背部〜腰部の筋肉の隆起が左側よりもあるので、無意識に使ってしまう傾向があると考えられる。
右側をよく使い、右側の筋力がつくと、そちらで使う方が楽であったり、効率がいいので、より右側を使うようになる。そのため、疲労が溜まりやすく、疲労が抜けにくくもなる。無意識で使うため、日常生活でもその傾向があり、疲れが溜まっているときは、疲れが取れにくくなる。
症例12
20代 男性 兵庫県 陸上400m選手 2020年3月受診
1週間前くらいから、左ハムストリングスの坐骨付着部位あたりに違和感を感じる。100%でのランは怖いとのこと。
主訴
左ハムストリングス痛
その他症状
特になし
既往歴
特になし
所見
通常の歩行、軽いジョグ問題なし。炎症、腫脹なし。圧痛あり。
ツボ、筋肉
臀部外旋六筋、ハムストリングス、大内転筋、長内転筋、大腰筋
治療
緊張のある各筋肉に刺鍼、血流の乏しい腱部を重点刺鍼。マイクロカレント通電。
考察
春先の運動は、暖かくて走りやすくなるため、100%のパフォーマンスでやってしまいがちです。ただ、体はそれに耐える筋肉が出来上がっていなかったり、急激な負荷で脳がストップをかけて、急激な筋緊張を起こす場合があるので、注意が必要です。
瞬発的にひどく痛めたわけではなく、ひどくならないように、長引かないようにということでメンテナンスに来院されました。
延期が決まりましたが、オリンピックを控える大事な時期ですので、いい状態をキープするのに役立てればと思います。
症例11
20代 男性 東京都 陸上400mH選手 2018年4月初診
1週間前の練習中に、左足下腿部に違和感を感じる。練習を切り上げるが就寝時に左下腿部がつる。直後に他院で鍼+マッサージを受けるも、歩行、走行事の立脚終期に下腿上部正中よりに痛みが出る。
主訴
左足下腿部痛。
その他症状
左腰部痛。
既往歴
特になし。
所見
通常の歩行、立位でのつま先立ちに痛みはなし。炎症、腫脹なし。下腿上部膝窩から下方5㎝~8㎝くらいのあたりに顕著な圧痛。
足関節を底屈、抵抗を加えても痛みなし、足の指を底屈、抵抗を加えても痛みなし。
ツボ、筋肉
後脛骨筋、腓腹筋、ヒラメ筋、大腰筋、ハムストリングス。
治療
原因となっている、後脛骨筋に正確に当てる。
考察
ハードルを跳ぶときに、左足で踏み切るので普段から使用頻度が高く、さらに瞬発的にタンっ!と足関節を使うので、通常底屈時に使う、腓腹筋やヒラメ筋での損傷ではないようでした。
歩行、走行時の立脚終期に痛みを感じるのと、その他の筋肉の抵抗を加えた時には異常がなかったので、後脛骨筋のトラブルと判断しました。
また、年に1回ぎっくり腰になり、ちょうど腰部に違和感があるので、腰部にも刺鍼をしておきました。陸上短距離+ハードルということで、腸腰筋の酷使が考えられますので、そちらに刺鍼しておきました。
幸い下腿部の痛みは1回の施術でほぼなくなりました。痛みがひいても、焦らずにじっくりと調整していただいたことにより、走る、ハードルを跳ぶのも問題ないようです。
症例10
10代 女性 吹田市 バレエ 2017年9月初診
2週間前に、右足甲を過度にストレッチ、伸展させ、それ以降ポワントをすると痛みが出るようになる。電気治療や痛み止めを服用するも、痛みが改善されないので、当院を受診。
主訴
右足首甲部の痛み。
その他症状
左肩の緊張、可動域の低下。
既往歴
特になし。
所見
レントゲン所見問題なし。通常の歩行、立位での痛みはなし。炎症、腫脹なし。
ツボ、筋肉
中殿筋、大腿筋膜張筋、前脛骨筋、長趾伸筋、長母指伸筋、長母指伸筋腱。
治療
痛みを出している長母指伸筋腱に斉刺(3本刺入)し、その他緊張の強い筋肉に刺鍼する。
考察
11歳という年齢なので、まだしっかりとした筋力がついていないと考えられます。話を聞いていると、本人の思った動きができない、筋肉を使えていないなどがあります。
コーチからの指摘に応える、理想の踊りをしようと意識するが、筋力がついていかなかったり、使うべき筋肉を使えていないため、他の筋肉を使ったり、無理な力がかかり筋肉が固くなっている。
それを無理にストレッチしてしまい、腱を痛めてしまったのではないかと考えられます。
恐がっている、敏感、こそばい、他人に体を触られる
大人でも怖がる鍼灸施術ですから、子供はもっと怖がっています。また、大人よりも感覚が敏感なために、少しの刺激でも強く感じます。触れる、マッサージでもこそばく感じます。そうするとより緊張するので、悪循環になります。
その反面、刺激量が少なくても、回復が速かったり、痛みがすぐに引いたりと、自己治癒能力の高さを発揮します。切り傷なんかの直りが大人より数倍速いのがいい例です。
ポワントをするのがつらいということですが、ポワントを始めるのは11歳くらいからと言われています。さらに3~4年間のバレエのトレーニング経験があり、十分な筋力、熟達したテクニック、骨格と精神的な成熟がある場合に限るという条件がつきます。
3~4年間のバレエのトレーニング経験は満たしていますが、十分な筋力というところは難しい部分があるかもしれません。このあたりは、コーチの判断によるものですので難しいです。
段階を踏んでのトレーニング、筋力強化を考えての練習が行われることを望みます。バレエに限ったことではありませんが、この年齢期の練習量はどうしても過剰になってしまいがちです。かといって休みたくはありません。
このあたりの子供の状態を、指導者や親がいかに把握して、調整するか。悩ましい問題です。
幸い、足の痛みは1回で消失し、ポワントができるようになったようです。
症例9
20代 男性 西宮市 陸上400m 2017年8月初診
6月の練習中、スピードを上げた時に違和感を感じる。その月のレースに出場。以降、全力で走った時、練習後に痛みが出るようになる。
主訴
右ハムストリングス痛(大腿二頭筋)、右下腿部下部痛
その他症状
特になし。
既往歴
数年前までは、年に1回くらいハムストリングスを痛めていた。
所見
日常生活の動きでは痛みなし。大腿二頭筋長頭、腱移行部に圧痛。
ツボ、筋肉
中殿筋、大殿筋、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋、腓腹筋、ヒラメ筋。
治療
痛みを取ることを最優先に、斉刺という刺鍼法で患部を集中的に刺鍼します。患部をかばい臀部やハムストリングス、腓腹筋などの緊張も強くなっていますので、それらの緊張も取り除いていきます。
2回の施術で、練習後の痛みをほとんど感じなくなる。
考察
スポーツ選手の場合、同じ競技をされています。小学生くらいからやっていることがほとんどです。同じ競技ということは、同じ動きをずっとしているということになります。
つまり使用する筋肉、負担のかかる筋肉が同じということになります。一般の選手と違い、トップ選手になると、フォームが良い、体が強い、柔軟性があるということがあるので、本来は故障は少ないのです。
しかし、さらにいいパフォーマンスを発揮しよう、いい結果を出そう、もっともっととなると、練習量が増えたリ、無理な体の使い方をするようになります。
疲れの取れないまま、筋肉の固さが残ったままでの運動により、肉離れや捻挫などの筋肉、軟部組織のトラブルが発生します。
そのため、疲労が取れても、痛みがとれても、その部位にかかる負担が変わることがないことが多いので、同じ場所を故障してしまいます。
また、避けられないのが老化です。いくら優秀な選手でも、老化により体が固くなってきます。練習法やメンテナンス法が若いときのままですと、さらにひどくなる恐れがあります。
また、トレーニングによって筋肉を鍛えることは可能ですが、腱や靭帯を鍛えるということは中々できません。生まれ持ってのものであったり、小さな時に刺激を加えていたなどの条件が必要になります。
そのため日ごろから、筋肉を緩めるストレッチ、マッサージ、鍼灸を取り入れて、徹底的にいい状態をキープする必要があります。
トップ選手が自前でトレーナーを雇っているのは、常にいい状態をキープするためです。食事においても、ジャンクなものを食べない、脂質を取りすぎない、炭水化物に偏りすぎないなどの注意が必要です。食事のようなものは、すぐに変化が出るわけではありませんが、長い目で見た時に日々の積み重ねは非常に重要になってきます。
症例8
10代 男性 大阪 学生 2017年5月初診
2か月前から投球時に右肩前部に痛みがでるようになり安静にしていた。2週間前に投球を再開するも痛みは変わらない。1年前にリトルリーグショルダーの診断を受け、安静、ストレッチ、筋力強化などをして、コンデイション維持をはかっていた。
主訴
右肩前部、上腕部の痛み。
その他症状
特になし。
既往歴
特になし。
所見
Obrinテスト陽性 lift offテスト陽性 スピードテスト陽性。
肩可動域が制限され、背中に手をまわす動作では、臀部あたりまでしか挙がらない。
ツボ、筋肉
棘上筋、棘下筋、大円筋、小円筋、肩甲下筋、三角筋、上腕二頭筋、肩甲挙筋、菱形筋、最長筋、板状筋
治療
圧痛部位を中心に、動きに制限のかかっている肩関節の筋肉(棘上筋、肩甲下筋を中心)に刺鍼。
3回の治療で痛みはなくなるが、硬さやつっぱりは残っている。また、練習をしたり、投球をすると、可動域は低下し、硬くなる。
考察
もともと、関節が硬く、猫背もあったということで、リトルリーグショルダーがわかってからは、ストレッチや投球制限、アイシングなどを行ってきたとのこと。
成長期のスポーツ障害は、骨端線があり骨に負担がかかること、筋肉付着部位が弱く強度が弱いこと、筋力が弱いこと、柔軟性が乏しいことなどを考慮しないといけません。この方は小学生の時から投手をやっています。能力がある人、体の大きい人は投手や捕手を任せることが多いです。
そうすると、ボールを投げる回数は他の人よりも多くなります。また、同じチームに能力のある人が沢山いるとは限りません。そうなると、一人で投手をやることになり、連投連投となり肩や肘を酷使することになります。
少しの痛みであっても、なかなか痛いと言い出すことができなかったりで、悪化することは珍しくありません。
日々のケアを子ども一人ではできません。コーチや親のサポートは必要不可欠です。練習前の可動域のチェック、痛みのチェックなどを徹底。
練習後のストレッチやマッサージのサポートなど。手間がかかりますが、ひと手間で体の負担が大きく違います。
日本臨床スポーツ医学会1995
野球障害予防ガイドラインの提言を掲載しておきます。少し前のものですが参考にしてください。これも提言というところが
野球肘の発生ピーク 11-12歳
野球肩の発生ピーク 15-16歳
・試合翌日はノースロー
・投げ込みの翌日は、投球数を減らす
練習日数・時間
小学生 2時間/日 3日/週 以内にする
中・高校生 1日/週 以上の休養日を必要とする
小学生では、1日 50球以内、週200球以内、
中学生では、1日 70球以内、週350球以内、
高校生では、1日100球以内、週500球以内、が望ましい。
なお、1日2試合の登板は禁止すべきです。
小・中学生にはシーズンオフを設け、その間は野球以外のスポーツを与える機会を設けることが望ましい
a) 練習時間が長すぎる。
b) 休養日が少なすぎる。
c) 年中同じスポーツをしている。
d) トレーニングメニューが画一であり,個別性でない。
e) 体力づくりがおろそかにされている。
f) 水分摂取が不十分である。
g) 食事が不規則である。
h) 運動障害に対する勉強が不十分な指導者が多い。
しっかりとやっているところもあると思うのですが、上に挙げたような課題を抱えていることが多いのではないでしょうか。
症例7
30代 男性 大阪 ダンサー 2017年2月初診
日々のセルフコンディショニングで痛みや辛さはないが、深部の筋肉を柔らかくしてパフォーマンスをアップしたい。
主訴
特になし。
その他症状
特になし。
既往歴
事故により、左足膝下が義足。
所見
腰背部、右内転筋の緊張があり。
ツボ、筋肉
全身に刺鍼します。頸部、背部、棘上・下筋、大・小胸筋、肩甲下筋、大小円筋、脊柱起立筋、大腰筋、腸腰筋、腹直筋、内外腹斜筋、大中小殿筋、大腿筋膜張筋梨状筋、外旋筋、大腿四頭筋、ハムストリングス、内転筋群、腓腹筋、膝窩筋、腓腹筋、ヒラメ筋、長母趾伸・屈筋、前・後脛骨筋、足底筋膜、骨間筋。
治療
安全第一にやれるところ全部に刺鍼していきます。鍼の本数は合計で200本くらいでしょうか。痛みがあるわけではないので、強い緊張があるわけではありません。全身を触診し左右差のみられるところは重点的にやっておきます。
考察
体に柔軟性があり、可動域が広い分、体にかかる負担が少なく感じるかもしれません。しかし、その分出力は増しますし、スピードも上がりますし、できる動きにバリエーションが増えます。そのため、かかっている負担は大きいのです。ご自身でセルフケア、ストレッチや体操などを入念にされて、体を痛めないようにされています。
しかし、自分ではどうしても緩めきれない部分が残ります。それがインナーマッスルです。マッサージや整体でも緩めることは可能ですが、非常に時間がかります。そこで行き着いたのが、北京堂のインナーマッスル刺鍼です。痛みを伴うが効果的に緩められるとのこと。
「筋肉が硬いから、踊ることができない。筋肉が硬いから無理をする。それによってフォームは崩れるし、他のところに負担がかかる。ケガのリスクが高くなり、肉離れをしたり、捻挫をしたり、体に負担がかかる。体を思い通りに動かせなくなるから、競技をあきらめたり、引退することになる。
体のメンテナンスをメンテナンスと言うからダメなんです。メンテナンスは練習なんです。普段の練習と同じ、或いはそれ以上に重要だから、絶対やらないといけないのに、ほとんどの人がおろそかにしている。」
治療をする側の私にも刺さる言葉でした。ストイックという言い方は、怠けているものの言葉かもしれません。必要だから当たり前にする。ストイックも何もないわけです。
症例6
20代 男性 横浜市 学生 (陸上、中長距離選手) 2014年5月初診
以前から走る量が多くなると、右のハムストリングスに痛みがでていた。今回は、痛みの為全力で走れない状態になる。
主訴
右ハムストリングス(坐骨結節付近が特に痛む)
その他症状
下腿部のはり感。
既往歴
特になし。
所見
ハムストリングス起始部に索状の硬結があり、半腱様筋、半膜様筋ともに、ガチガチに硬くなっている。
歩行でも痛みがあり。
筋力の低下はないが、左と比べ柔軟性が悪くなっている。
ツボ、筋肉
腰部夾脊穴。ハムストリングス(半腱様筋、半膜様筋)、坐骨結節周囲の硬結部位、長内転筋、腓腹筋。
治療
ハムストリングスを緩める。当たり前ですが、徹底的に鍼をします。酷使してきたぶん緩めるのは容易ではありませんが、根気よくやるしかありません。
硬いといってもイメージがつかないかもしれません。例えるならロープのような硬さです。
1回目の施術では、ハムストリングス、ハムストリングスの起始部、停止部を重点的に、その他、腓腹筋、内転筋なども緩めるべく刺鍼しました。
1回目の施術後、痛みが軽減するが、長時間走ると坐骨付近に痛みが出るということなので、少し太めの鍼で坐骨結節付近、ハムストリングの起始部を刺鍼。
3回目以降、ひどくならないように、定期的に来院されています。
考察
スポーツをやる方によくあることですが、スポーツ自体が痛みの原因となっているため、やれば痛みがでるという悪循環に陥ってしまします。
フォームが悪かったり、筋力が弱かったり、体の使い方が悪かったり、痛みがでるという事は、何らか理由があるわけです。それを、取り除かなければ、鍼治療で痛みが緩和しても、また痛みは出てきます。
休めば良くなるという簡単なものでもありません。
そもそも、休みたくないから治療に来ているんですから。しかも、休んで治れるレベルの状態な人は、ほとんどいません。その段階の人は、痛みを我慢して普通にプレーを続けているでしょう。プレーに支障をきたすようになったから、治療をしに来ているわけです。
痛みは体の訴え、悲鳴です。
「負担がかかっているよ」、「フォームが悪いよ」、「練習量が多いよ」、「休みが少ないよ」、「道具が合っていないよ」、「筋力が足りていないよ」
そういったサインです。そのサインが出たときに、どうすればいいかです。その競技を、長く楽しく続けたいのであれば、上に挙げたような事を見直さないといけません。練習を休めないのであれば、ケアをする時間を増やさないといけません。
僕自身小さい頃から、野球をやっていて、肩や腰はずっと痛みはありました。それをごまかしながらやっていたので、肩の痛みは手術しない限りとれない状態になっています。
症例5
40代 男性 横浜市 競輪選手 2015年1月初診
以前から慢性的な腰痛があり、3日間練習を休んで再会した時に右側の腰部に痛みが出る。
主訴
右腰部痛
その他症状
特になし。
既往歴
両鎖骨骨折、頸椎横突起骨折。
所見
腰部前屈、特に丸まるように前屈すると痛みがでる。臀部の圧痛なし。神経症状なし
ツボ、筋肉
腰部夾脊穴。多裂筋、大腰筋、中小殿筋。
治療
北京堂の基本的な腰部痛治療です。
お腹を、背中に引っ込めるようにする前屈で特に痛みますですので、大腰筋の緊張あるいは、腸骨筋の緊張がメインの原因になってきます。
今回は、腰椎椎間の運動鍼もプラスして、早期の痛み改善を行いました。
2回目の施術以降は、慢性的な腰痛の緩和、コンディション維持に来院していただいています。
考察
症例4の方と同じく、競輪選手特有の競技中の姿勢、大腿部の引き上げが原因と考えられます。
常に前傾姿勢でフルに筋肉を使いますので、いかにこの疲労を溜めないかですね。鍼をしてガンガン緩めていきましょう。
症例4
30代 男性 川崎市 競輪選手 2015年6月初診
自転車のセッティングをいつもとは違うものにし、引き足を意識してトレーニング、レースに出たために、腰部に疲れ、痛みが出るようになる。
主訴
腰部痛、ハムストリングス(特に半腱様筋)の痛み
その他症状
特になし。
既往歴
職業柄落車をすることがあるので、ケガが絶えない。ただし、大きなけがはなし。
所見
腰部前屈、側屈で痛み増。歩行時に常に反って歩いてしまう。神経症状はなし。
ツボ、筋肉
腰部夾脊穴。多裂筋、大腰筋、中小殿筋。
治療
北京堂の基本的な腰部痛治療です。脊柱起立筋と大腰筋を緩める。
利き手があるように、利き足というものもあります。この方は、利き足が右なのでしょう、右の腰の方が左側よりも緊張しています。
痛みや疲労を抱えていると、通常のパフォーマンスが発揮できなくなるだけでなく、かばってほかの部位を痛めることにもなります。
3回目の施術以降は、ハムストリングスの緊張をとるのに利用していただきています。トップスピードの時に、太腿の裏の筋肉を使いすぎてしまうのか、その他の筋肉よりも弱いのか、或いはそこに偏って使ってしまうのか、常に筋張った硬さがあります。
陸上の中距離の選手にも共通する悩みですが、トップスピードで足を使うとハムストリングスの負担が大きくなります。選手によっては、肉離れを起こしてしまったりで、痛みや緊張との付き合い方を考え、休息することも練習と思うことも必要になります。
普段からなるべく疲労を溜めないようにしておかないといけないと思います。
考察
競輪という競技の特性上、前屈姿勢でペダルを漕ぎます。その姿勢が腰に大きな負担をかけるだけでなく、足を引き上げる際に、腰椎(腰の骨背骨)と股関節の内側につく大腰筋を酷使するため、腰痛が発生しやすくなります。
椎間板にかかる負担も大きく、腰部椎間板ヘルニアになる方が多いのも、競輪選手の特徴です。
・乗車姿勢に気を付ける
・筋肉の疲労を溜めない
この二点は非常に重要です。北京堂のメリットは、競輪選手のような、大きな筋肉をもっている方の患部に、鍼を届かせることができるということです。深部の筋肉を、ストレッチやマッサージでほぐすのにはどうしても時間がかかってしまいます。
症例3
40代 女性 横浜市 2011年11月初診
初診では、転倒した際の膝の痛みで受診。治癒後は、社交ダンスをする時のコンディション維持に来院。
日本では、社交ダンスというと、年配の方がやるイメージが強いためか、穏やかなものと思われがちですが、実際は私たちが想像している以上にハードです。
しかも、この方はプロとペアになってやっているため、求められるものも高く、体を酷使されています。
また、女性の場合競技でありながらヒールを使用するため、足のトラブルが多くなります。
ダンスのレベルに応じて、使う場所や筋肉が変わるため、疲労する場所痛める場所も変わってきます。
主訴
足底部痛、下腿のはり。
その他症状
右腋窩部の疲労感、コリ感。
既往歴
左膝内側靭帯損傷(10年前)、左膝蓋骨ひび(4年前)
所見
左足土踏まずのあたりに圧痛。腫れ、炎症などはなし。爪先立ちなどの動作に問題はないが、違和感がある。左足関節底背屈(+)
臨床では、この違和感という言葉を頻繁に耳にします。痛みというのは、わかりやすい表現です。どの動きをしたら痛い、どの姿勢が痛いなど、変化も感じやすいものです。
しかし、違和感というのは、痛くもないがどこか気になるといったような具合です。プレーや演技に直接影響してきますので、ちょっとした違和感でも、すごく気になります。
表現も様々で「ボテッとした感じ」「ブワッとしている」「腫れぼったい」「外に逃げる感じ」「水の上を歩く感じ」など。
正直わかりません。何となくわかる部分がある場合もあるのですが、主観的な表現のため、非常に難解です。故障なのか、障害なのか…。
それを踏まえつつ、いかにその違和感を共有して取り除けるかが腕の見せ所になります。
ツボ、筋肉
太白、公孫、然谷、太衝。長趾屈筋、長母指屈筋、後脛骨筋、腓腹筋、足底部の筋肉(短趾屈筋、短母趾屈筋、骨間筋など)、大腰筋、中小殿筋。
治療
疲労している筋肉に対して、丁寧に鍼をしていく。これにつきます。足底部の筋肉への刺鍼は内側から外側に目がけて透刺するようなイメージで行います。手のひらや足の裏への直接刺鍼は、非常に痛みが強いため、横からやるのが鉄則です。
足の指を動かす筋肉は、足の裏にだけあるのではなく、ふくらはぎの深層にある筋肉が重要な役割を果たしています。なので、腓腹筋やヒラメ筋を超えて最下層の長趾屈筋や長母趾屈筋にアプローチします。
考察
ヒール使用のため、足の指で地面をつかむ動きということをやります。そのため、足底部やふくらはぎが非常に疲れます。ダンスの練習では、筋トレは重要視されず、ダンスの反復がメインだったそうです。しかし、最近では姿勢の維持や持久力アップなどで、筋トレを取り入れるプロも増えてきているようです。
この方も、より質の高いダンスをするために、筋トレを取り入れるようになりました。特に足底部の筋力強化を図っているため、筋疲労により足の痛みが出ています。
症例2
40代 男性 横浜市 会社員 2013年11月受診
マラソンで、最後のスパートをした時に、呼吸がしづらくなって以降、詰まるような痛みと、重苦しさが背中にある。
主訴
背部痛。胸椎の5番、6番の間あたりで、背骨の真ん中あたりが痛くなる。主に息を吸い込む時に痛みがでる
その他症状
頸肩のこり。
既往歴
特になし。
所見
呼気特に痛みがあったり、運動制限があるわけではない。徒手検査も問題なし。
自転車を漕ぐと、右大腿部前方にしびれがでることがある。。
腰部から下肢後面にハリがみられる。
ツボ、筋肉
棘上筋、棘下筋、脊柱起立筋、大腰筋、梨状筋、中殿筋、小殿筋、ハムストリングス。
治療
スポーツをやっている方は、筋肉自体の柔軟性があることが多く、疲労があっても、一般の痛みがある人よりも、柔らかいことが多い。
そういった場合、太い鍼や響きの強い治療は、逆効果になることもあるので、鍼の太さや本数を通常よりも減らすこともある。
今回の症例に関しては、表面のハリの除去と全身の血流アップをメインとした。但し、右側の足のしびれや、蹴る力が弱いということで、大腰筋にはきっちりと響く鍼をしておきました。
考察
1回目の治療後、大腿部のしびれが出なくなり、足を蹴る力も問題はない。治療後、数日はだるさや違和感が残ったが、疲労はとれてレースに支障なく出場ができたとのこと。
ストレッチやマッサージで取れない疲労や違和感がある場合、インナーマッスルに問題があることもある。とくにスポーツをやる人は、いろいろなスポーツをやるというよりは、同じスポーツ、同じ動きをやっていることが多いので、負担のかかる場所が偏っている場合が多い。
そういった場合、鍼治療は効果的なので、どんどん活用していただきたい。
症例1
40代 男性 横浜市 自営業 2013年6月受診
トライアスロンをしているので、体に疲労が溜まっている。レースが近いのでスッキリしておきたい。
主訴
右腰臀部のはり、右大腿部外側~脛のあたりにしびれがでることがある。
その他症状
ランニング中、右足で蹴る力が弱い。右肩をふいに前方に挙上すると、力が入らず上がらないことがある。
既往歴
特になし。
所見
特に痛みがあったり、運動制限があるわけではない。徒手検査も問題なし。
自転車を漕ぐと、右大腿部前方にしびれがでることがある。。
腰部から下肢後面にハリがみられる。
ツボ、筋肉
棘上筋、棘下筋、脊柱起立筋、大腰筋、梨状筋、中殿筋、小殿筋、ハムストリングス。
治療
スポーツをやっている方は、筋肉自体の柔軟性があることが多く、疲労があっても、一般の痛みがある人よりも、柔らかいことが多い。
そういった場合、太い鍼や響きの強い治療は、逆効果になることもあるので、鍼の太さや本数を通常よりも減らすこともある。
今回の症例に関しては、表面のハリの除去と全身の血流アップをメインとした。但し、右側の足のしびれや、蹴る力が弱いということで、大腰筋にはきっちりと響く鍼をしておきました。
考察
1回目の治療後、大腿部のしびれが出なくなり、足を蹴る力も問題はない。治療後、数日はだるさや違和感が残ったが、疲労はとれてレースに支障なく出場ができたとのこと。
ストレッチやマッサージで取れない疲労や違和感がある場合、インナーマッスルに問題があることもある。とくにスポーツをやる人は、いろいろなスポーツをやるというよりは、同じスポーツ、同じ動きをやっていることが多いので、負担のかかる場所が偏っている場合が多い。
そういった場合、鍼治療は効果的なので、どんどん活用していただきたい。